沈丁花が香る季節が来た
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エッセイ
島珈琲はこの3月29日で、開業20周年を迎えます。
岡町本店はコーヒー豆専門店として2002年にオープン。
当時、僕は26歳でした。
今考えるととても無謀な挑戦で、振り返ればコーヒー豆に対する知識もまだまだで、ようそんなことできたな、と自分自身で感心するくらいです。
でも、その勢いがなければ今の僕もなかったわけで、その当時の自分によくぞ決断した、と褒めてあげたいところでもあります。
ここまでの道のりは紆余曲折と挫折の繰り返しで、平坦な道のりではなかったです。
ただ僕はお客さんに恵まれました。
いいお客さんに囲まれてきました。
つらい時もお客さんからたくさんの励みをもらい、その恩返しはお店を続けていくことだと僕は今も心に刻んでおります。
沈丁花の香りがそろそろ街で漂う季節になりました。
沈丁花の香りは、ああまた1年の月日が経ったんだなぁと同時にある思いでも甦らせてくれます。

香りが呼び起こす記憶との連動
岡町本店を開業した当時は、コーヒー豆も売れるわけもなく、その術を知らなかったというか、美味しかったら売れるという傲慢ちきな部分がありました。
そんな簡単なわけはありません。
そこから、もがきました。
お店の売上ではとてもやっていけなかったので、早朝の新聞配達のアルバイトもしながら、なんとか繋いでおりました。
新聞配達をしている時、朝刊を届けるお宅に沈丁花の香りがすごいところがあって、そこを通る時は沈丁花の香りをめいっぱい深呼吸をして、香りを楽しんだものです。
沈丁花の香りをキャッチすると、僕の脳はその記憶をすぐに呼び起こしにかかるのですね。
そうか、あれかもう何年も経つのかぁ、開業記念日を迎える手前、沈丁花の香りを嗅ぐと開業記念日がもうすぐということと、新聞配達をしていた記憶が甦ってきます。
皆さんは香りと記憶が連動すること、何かありますか。
つらい経験を耐えることできたのは
やっぱり、好きなことをやっているから、というのは大きいですね。
コーヒーの焙煎が好き、それを楽しみにしてくれているお客さんがおられ、そのお客さんが好き。
人ってやっぱり好きなことには頑張れるし、好きは耐える力を与えてくれます。
コーヒーをビジネスだけで考えてやっていたら、僕はたぶんここまで続けることは出来なかった、そう思います。
好きなことをさせてもらえる環境に感謝して、お客さんに感謝して、次の21周年を目指し、1年1年をコツコツと積み上げていきたい、沈丁花の香りを嗅いで思ったことでした。
本日は、月曜日で僕のお休み。
今日はカミさんの誕生日パーティをして、お祝いをして楽しみます。
それでは。
こころに響くコーヒーを
焙煎アーティスト 島 規之
いつもありがとうございます。
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島 規之
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